SPECIAL CONTENTS

ご挨拶

京都府知事 西脇隆俊
ごあいさつ
京都府知事 西脇 隆俊

 公益社団法人京都府物産協会が創立六十周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。
 京都府物産協会におかれましては、設立以来、京都の老舗を代表する業界団体として、京都ブランドの普及と府内物産振興に多大なる御尽力と御貢献をいただいておりますことに厚く御礼申し上げます。
 とりわけ全国各地で開催される「京都展」は、多くのみなさまに京都のほんものの魅力に触れていただく機会であるとともに、京都ファンの裾野の拡大に大きな役割を担っていただいております。
 京都府としましても、文化庁移転を契機に「文化の都・京都」の実現に向けて、京都府物産協会の皆様とともに、京都の歴史と伝統が紡いできた伝統産業製品や特産品の魅力を全国各地に発信してまいりますので、引き続き、御支援、御協力をお願いいたします。
 公益社団法人京都府物産協会が、この輝かしい創立六十周年を契機に、ますます御発展されますとともに、会員の皆様の御健勝と御繁栄を心から祈念いたしまして、私のごあいさつといたします。

公益社団法人京都府物産協会 直前会長 土井健資
ご挨拶
公益社団法人京都府物産協会 直前会長 土井 健資

当会は、昭和三十八年京都府内の中小企業者が集い京都府物産協会を結成し、全国各地で行う物産展を通して京都文化、観光、京ものの紹介と共に販路の開拓を行ってまいりました。
 昭和四十五年十一月に、社団法人格を取得し中小企業の組織強化を図り、さらに物産展をはじめ京都府、京都市、京都商工会議所様と連携し広域に渡り観光関連諸事業を推進して参りました。
 そして平成二十四年九月には新たな飛躍を目指し公益法人へ移行し、京都観光推進と共に「京のほんまもの」のPRに努めて参りました。
 本年、創立六十周年を迎えるにあたり、令和七年に開催される大阪・関西万博を視野に入れた商品開発を推奨する『新商品コンクール』を瓢亭の高橋様を委員長に実施し、さらに磨きをかけて令和の時代に沿ったものづくりを構築しました。
 また文化庁の京都移転を踏まえ、歴史に裏打ちされた京都文化の発信と未来への継承を図る記念事業展『創立六十周年記念 京都展 ~明日に生きる京の町衆展~』を大分市のトキハ百貨店様にて九十九社を一同に集め、物産展を開催しました。踊り披露、体験教室など大分市の皆様に京都文化を肌で体感いただきました。
 こうして振り返りますと六十周年を迎えられましたのも、京都府様をはじめ関係各位の皆様のご協力の賜物だと厚く感謝しますと共に御礼申し上げます。
 これからも当協会は、時代と共に進化し、京都文化の発信と観光推進に進することをお誓い申し上げまして六十周年記念のご挨拶とさせていただきます。

公益社団法人京都府物産協会 創立六十周年記念事業実行委員長 田中長兵衞
ご挨拶
公益社団法人京都府物産協会 創立六十周年記念事業実行委員長
田中 長兵

 京都府物産協会は昭和三十八年に創立され、この度六十周年を迎えることができました。昭和四十五年には社団法人に、平成二十四年には公益社団法人となり現在に至っております。先人のご努力、京都府ならびに関係の各位、京都展会場をご提供いただきました百貨店をはじめとした全国の皆様、そして会員の皆様のご支援ご協力に心より御礼申し上げます。
 当協会は、京都の物産を内外に発信し、京都の伝統と文化を紹介し、府内産業の振興と発展その販路拡大、また観光の紹介にも努めてまいりました。いろいろと時代の変化もありましたが、直近の三年間は新型感染症拡大による社会の情勢、人々の生活様式に大きな変化がありました。「伝統と革新」という言葉がありますが、今こそ、古きよきものを残しつつ、新しい時代の要求にこたえる変化や新しきよきものを創生する時、ではと思います。文化庁の京都移転もなり、二年後には大阪・関西万博も開催されます。協会は引き続きオール京都の一員として、公益の立場に立って京都のブランド力を高めつつ「京もの」を発信する活動をしてまいりたいと存じます。今後とも皆々様のご指導ご支援ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 周年事業は十年ぶりの開催となりました。ここに六十周年の記念事業が開催できましたこと、記念誌が発刊できましたことにあらためて心より感謝申し上げます。

特別寄稿

文化庁長官 都倉俊一
京都府物産協会創立六十周年によせて
文化庁長官 都倉 俊一

 この度、公益社団法人京都府物産協会が創立六十周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。角田潤哉会長をはじめ歴代の会長、役員、会員の皆様方のこれまでの御尽力に心から敬意を表します。

 京都府物産協会におかれましては、昭和三十八年の設立以来、歴史と伝統に磨かれた物産と京都の魅力を国内外に発信し、京都文化の継承・発展に努めてこられました。特に、全国各地で開催されている「京都展」は、伝統産業製品や特産品等を展示販売する総合物産展として定着し、毎年多くの来場者で賑わっています。伝統文化・芸能の披露や体験教室、観光PRなどの多彩な取組なども通じて、「日本の文化首都『京都』」のブランディングを確固たるものにされていると考えます。

 さて、文化庁は本年五月十五日に本格的に京都における業務を開始いたしました。明治政府が首都を東京に移して以来、中央省庁が東京から移転するのは、初めてのことです。貴協会の創立六十周年とともに、この記念すべき年を祝うことができ、嬉しく思います。また、貴協会の鈴鹿可奈子理事には、昨年、文化審議会委員にご就任いただき、今年度からスタートした第二期文化芸術基本計画の策定のためにご協力いただきました。鈴鹿理事のご尽力に改めて感謝致します。旧友である父君鈴鹿且久さんとともに二代続く関わりにもご縁を感じます。

 文化庁の京都移転は、東京への一極集中の是正や地方創生という観点だけでなく、日本の歴史上千年にわたって都として文化の栄えた京都に文化庁が本拠を置くことで、文化芸術のグローバル展開の加速、文化芸術のDX化、文化財を活用した観光、食文化などの生活文化の振興など、新たな文化行政の展開を進める上で、大きな契機となるものです。
 また、2025年には大阪・関西万博が開催されます。今回の移転を機に、「《伝統×創造》で日本を元気に!」という思いで、京都から食文化や文化観光などをはじめ、新たな価値を生み出し、日本の文化芸術の魅力を国内外に広く発信していきたいと考えています。そのため、私の下に「食文化推進本部」や「文化観光推進本部」を設置し、地域における食文化や文化観光の一層の推進に向けた組織の機能強化を図っています。これら一連の取組は貴協会の活動とも関わりの深いものであり、今後、我が国の文化振興を推進するためのパートナーとして、貴協会とは様々な連携ができるものと期待しています。

 結びにあたり、公益社団法人京都府物産協会が、この創立六十周年を契機とされ、ますます御発展されますとともに、会員の皆様の今後益々の御健勝と御繁栄を心から祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。

インタビュー

(公社)京都府物産協会 会長 都倉俊一
公益社団法人京都府物産協会 会長
株式会社 豆政 代表取締役社長
角田 潤哉

■豆政様と物産協会のこれまでの歴史をお聞かせください。

 弊社は昭和三十八年の設立の発起人に名を連ねており、当初から参加させていただいております。三代目当主である先々代の祖父、先代の父、そして私へと受け継がれている長いお付き合いです。昭和二十四年の戦後復興期、祖父が中心となり京都の食の老舗が集う「京名物 百味会」を設立し、東京日本橋の三越本店で初の京都展を開催したそうです。時代が進み、伝統産業製品にも拡大して、さらに多彩な京都の魅力を発信していこうと京都府物産協会が発会したのだと思われます。
 私自身は二十年ほど前に理事となり、その後、専務理事を四年、副会長を四年務めさせていただいています。実は私も昭和三十八年生まれでして、物産協会六十周年と私の還暦が同じということにもご縁を感じております。

■物産協会の役員としての使命をどのように感じておられますか。

 京都展の開催は、京都の物産振興発展、京都の魅力を伝え、京都へお越しいただくきっかけを創出するという目的があります。さらには、会員企業のみなさまにとって有益な機会を提供するのも大切なこと。
 これらに基づき、京都の伝統や文化を魅力的に紹介する企画を考え、開催場所となる百貨店などに提案します。
 継続開催している会場では、前回の来客数や売上効果などから「次はこんな企画を」というご要望をいただくこともあります。また、第十回、第二十回などの節目には、舞妓を増やしたり、ミスきものを呼んだりと特別感を演出しています。コロナ禍の前からは百貨店が厳しい時代となり、企画は簡略化していますが、その時々の状況で最善の京都展を作るのが、役員の使命だと思っております。

■これまでの京都展で嬉しかったこと、印象に残っていることは何ですか。

 京都というのは憧れのブランドで、京都展を待ち望んでくださっている方が多く、国内外のどこへ行っても好意的に受け入れていただいています。海外では、京都を訪れた経験のある方や、事前に京都のことを勉強して来られるお客様もおられて「ここがよかった」「あそこに行ってみたい」などと京都の地元の話をしていただき感激でした。
 印象に残っているのは、中国・重慶の京都展。領事館の方が会場へお越しになり、帰国前には物産協会役員を領事館へご招待くださって食事や懇談など文化交流をいたしました。京都府の担当部局に格別のお力添えをいただき、特に海外展では物産協会だけでは実現することのできない貴重な経験をさせていただき感謝しております。

■コロナ禍の三年間の活動、京都展継続のために工夫されたことは。

 一年目はほとんどが自粛、二年目からは感染者数の増減を見ながら判断していました。開催する場合は厳重な感染予防対策をして、食品の試食や量り売りは禁止でした。そんな中でもお客様から「よくこんな時に来てくださいました」と労いの言葉をかけていただいたり、「京都に行きたくても行けないから、本当の京都のものが揃っているここで安心して買い物ができる、ありがとう」とお礼を言っていただいたりしたことは物産展冥利に尽きます。
 コロナが心配で外出できない方へ商品をお届けできるようにネット販売にも力を入れました。各会員企業HPのほか、物産協会として百貨店のネットショップに掲載していただき「ネット上の京都展」としてたくさんの商品をご覧いただけるように工夫しました。

■今後の展望、これから挑戦したいことをお聞かせください。

 会場となる百貨店の負担軽減のために、コストのかかる会場設営と広告で新しい取り組みを始めました。会場装飾は、物産協会で制作した町家格子のタペストリーやクロスなどを持ち込み、京都らしい雰囲気、会場の一体感を演出。開催会場のすべてで繰り返し使用します。広告はネットやSNSを効果的に活用して告知します。物産協会、百貨店、会員企業が今までにない工夫や努力をして、京都府や開催先自治体も含めそれぞれにメリットのある京都展にしていくことが大事だと思っています。
 また、せっかく京都の名店が揃っているので、協会が橋渡しをして、お店同士のコラボ商品開発などもできればと考えています。会員企業の交流を活性化し、京都府物産協会ならではのユニークな企画に挑戦してまいります。